外国人雇用・就労VISA

外国人の雇用助言と就労資格

 
(1)外国人労働者の雇用状況
(2)外国人の在留資格
(3)外国人上陸許可手続の流れ(海外から雇用の場合)
(4)中長期在留者の管理制度
(5)外国人の在留カード
(6)外国人の就労資格証明書
(7)卒業予定の留学生の雇用について
(8)留学生の資格外活動許可によるアルバイト雇用
(9)日本企業が雇用する外国人に求められる就労のための在留資格
  ①経営・管理
  ②技術・人文知識・国際業務
  ③技能
  ④特定技能
  ⑤技能実習
  ⑥企業内転勤(参考)
  ⑦高度専門職(参考)
  ⑧身分・地位に基づく在留資格
(10)外国人雇用を支援する公的機関
(11)外国人の雇用者の義務
 

 

はじめに

 

企業の発展はいつの時代も経営者と人材が要です。素晴らしい経営者がいても、その経営理念をビジネス化する人材がいなければ絵に描いた餅になります。事業展開に必要なスキルと能力をもった人材の確保こそが企業の生命線です。国籍を問わず内外から相応しい人材の確保を目指すべきでしょう。今はコロナ禍で人流も止まっていますが、一時的な現象と思います。
 
グローバルにビジネスを展開する場合は無論ですが、国内の事業展開においても国籍にとらわれず内外から優秀な人材が得られれば、事業の発展はより確かなものになるでしょう。しかし、外国人の雇用は当事者間の合意だけでは決められません。外国人の就労目的の入国・在留資格については出入国管理関係法令に詳細な規定と条件があり、それをクリアーする必要があります。
 
このホームページでは、事業者様が外国人の雇用を進めようとした場合に、どのような在留資格があり、それにはどのような条件が課さられているか等を主に雇用者様の観点から説明しております。
 

外国人労働者の雇用状況

コロナ禍前の令和元年(2019年)10月時点の統計では日本の外国人労働者数は約166万人であり、それまでの10年間で3倍に増えています。日本の少子高齢化による人手不足を補うための外国人労働力の重要性が認識されてきており、また最近では技能実習制度が改正され外国人労働力確保の柱の一つになっています。
 
外国人労働者の就労分野では製造業(食料品、自動車等)、卸・小売業、飲食店業、建設業、情報通信業の5部門で全外国人就労者の6割以上を占めています。
 

外国人の在留資格

外国人が日本国内で就労する場合は、就労が認められる在留資格の取得が必要です。
 
日本に留学し、留学を終えた後、日本企業等に就職する場合には、その外国人は留学の在留資格を就労が認められる新たな在留資格に変更しなくてはなりません。
 
適法に在留する外国人には1つの在留資格しか認められず、対応する在留期間も1つです。
 

(1)就労が認められる主な在留資格
在留資格 該当例
経営・管理 企業の経営者・管理者
技術・人文知識・国際業務 工学系技術者、通訳、デザイナー、語学講師
企業内転勤 外国の事務所からの転勤者
技能 外国料理のシェフ、プロスポーツ選手
高度専門職 教授、経営者等で学歴・職歴・年収ポイント獲得者
特定技能(2019年制定) 特定14産業分野の従事者
技能実習 技能実習生(雇用契約による)

 

*就労が認められる在留資格は、外交・公用など全部で19種ありますが、民間企業の雇用に関連
 する主な7資格を上表にまとめています。

 

(2)就労が認められない在留資格
在留資格 該当例
文化活動 日本文化の研究者等
短期滞在 観光客、会議参加者等
留学* 大学・短大・専門学校の学生
研修 研修生
家族滞在 就労資格で在留する外国人の家族(配偶者・子)

 

*留学:資格外活動許可を受けた場合は、留学生は一定の範囲で就労が認められます(コンビニの
 アルバイト等)。

 

(3)活動制限のない在留資格(身分・地位)
在留資格 該当例
永住者 永住許可を受けた者。(在留期間は無期限)
日本人の配偶者等 日本人の配偶者・実子・特別養子
永住者の配偶者等 永住者の配偶者、国内で出生した在留者
定住者 日系3世、外国人配偶者の連れ子

 

外国人上陸許可手続きの流れ(海外から雇用の場合)

国外在住の外国人を日本国内の本社等で採用したい場合には、当該外国人の就労を前提にして日本に呼び寄せ入国させることになります。この就労目的の入国手続きを簡易迅速に行うには「在留資格認定証明書」制度を利用する方法が一般的です。

上記の国内での一連の手続を弊事務所の行政書士岡田博は申請取次行政書士の資格を保有しており代行が可能ですので、本人の管理局への出頭は不要です。
 

中長期在留者の管理制度

2012年7月9日より中長期在留者の管理制度が導入され、外国人登録制度が廃止され、各種届出が変更されました。この制度は出入国在留管理庁長官が在留資格を持って中長期間在留する外国人を継続的に把握し外国人の適正な在留の確保に資する制度です。
 
中長期在留者の管理制度の対象者と非対象者の具体例は以下の表のようです。尚、住所の変更は市町村に、氏名、国籍等の変更は出入国在留管理局に届出します(14日以内)。

対象となる人 対象とならない人
「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格による会社勤めの人 観光目的で短期滞在する人
「留学」の資格で学校に通う人 俳優、歌手などの芸能活動目的で来日し、「興行」の在留資格で3か月以下の在留期間の人
「日本人の配偶者」の在留資格で生活している人
「永住者」の在留資格者

 

外国人の在留カード

在留カードは中長期在留者に対し、上陸許可や在留資格の変更・更新許可に伴って交付され、在留者は常時携帯することが義務つけられています。在留カードで本人の現在の在留資格や在留期間等の確認ができます。但し、将来の就労の確実性までは確認できませんので、雇用者は下記の「就労資格証明書」により、確認するのが望ましいでしょう。
 

在留カード見本

 
在留カードには本人の顔写真のほか以下のような事項が記載されています。
①氏名・生年月日・性別・国籍・地域
②在留資格
③就労制限の有無
④在留期間
⑤カード有効期間、カード番号他
尚、裏面には①資格外活動許可、②住居地変更等が記載されます。
 

外国人の就労資格証明書

特定の在留資格を持っている外国人が転職する場合、同じ仕事であればどこの会社でも就労が認められるものではありません。就労許可は本人の在留資格以外にも就職する会社の規模・安定性なども含めて総合的に判断されるからです。
 
しかし、在留外国人が転職する場合に、新しい会社で現に有する在留資格に該当する活動であれば就労が可能かを、本人の申請により「就労資格証明書」を発行してもらうことにより確認することができます。
 
この証明書により、①本人が新たな就労と在留期間の更新の確実性を確認できますが、②転職先の会社(雇用者)でも本人の雇用の確実性が確認できることになります。尚、この証明書は就労を保証するものではありません。
 

就労資格証明書

 

卒業予定の留学生の雇用について

留学生は在留資格を「留学」から就労可能な在留資格への変更許可を得るまでは就労できません。変更許可は大学等での専攻内容、就職先での職務内容、雇用の安定性などを総合的に勘案して判断されます。
 
在留資格の変更許可申請の手続きは、原則として本人が地方出入国在留管理局に出頭して行う必要がありますが、①同管理局が適当と認めている場合の就職先企業の職員、又は②同管理局に届け出た行政書士(申請取次行政所書士)が代行することが可能です。
 
在留資格の変更許可申請書は、在留資格ごとに様式が定められており、新たに取得しようとする在留資格の様式で作成しなければなりません。申請取次行政書士が申請を代行する場合には、留学生は申請書の作成に必要な情報を行政書士に提供することになります。
 
留学生の採用に関しては、留学生の紹介・就職面接等のアレンジをしている「東京外国人雇用サービスセンター」(ハローワークの出先機関)の支援を受けることができます。
 

留学生の資格外活動許可によるアルバイト雇用

留学生の在留資格は「留学」であり、これは就労が認められない資格です。しかし、多くの留学生がコンビニなどのアルバイトで収入を得ています。これは当該留学生が資格外活動を行うことを希望し許可を得ているからです。
 
「留学」の在留資格を持っている外国人をアルバイトで雇用する場合には、当該留学生が「資格外活動許可」を受けている必要があります。在留カードの裏面に許可の内容が記載されていますのでそれを確認する必要があります。
 
留学生の資格外活動は包括許可であり、勤務先(風俗営業を除く)や勤務時間帯の制約はありません。但し、就労可能な時間は以下のようです。
 ①1週間の就労可能時間は28時間です。どの曜日から起算しても1週間について28時間です。したがって
  土、日に集中的に長時間働くような極端な時間配分は望ましくありません。
 
 ②在籍する学校の学則で定める長期休業期間(夏休み等)には1日8時間まで許容されます。学則による休業
  間ですから、5月の連休等はこれに該当しません。
 

日本企業が雇用する外国人に求められる就労のための在留資格

 ① 経営・管理:
日本で会社を設立する外国人起業家等が取得しなければならない在留資格です。
  <「経営」の資格要件>
   ・事務所が日本に在ること
   ・事業規模が次のいずれか
    ―常勤職員を2人以上雇用か、又は
    ―資本金・出資金の総額が500万円以上
  <「管理」の資格要件>
   ・事業の経営・管理について3年以上の経験があること(大学院の経営管理専攻期間を含む)
   ・日本人職員と同額以上の報酬であること
 
  <申請手続き>
   ・事業計画書の策定(事業の安定性・継続性が重要)
   ・事務所の設立
   ・定款の作成・認証
   ・出資金500万円の払い込み(又は職員2名)
   ・在留資格の申請
   ・同資格の取得
 
 ② 技術・人文知識・国際業務:
大学卒業程度の学歴要件を満たし、自然科学や人文科学分野の専門技術職、もしくは国の思考・感受性を活かした国際業務に従事する外国人を雇用するための在留資格です。
 
<従事できる業務例(技術・人文知識)>
 ・理系:エンジニア、プログラマー等
 ・文系:経理、人事、総務、法務等
 
<従事できる業務例(国際業務)>
 ・翻訳・通訳、語学学校の教師、デザイナー等
 
<申請手続>
 ・当該外国人と雇用会社間での雇用契約の締結(前提)
 ・申請手続
  ―海外から外国人を招聘する場合:「在留資格認定証明書交付申請」を行う。
  ―国内に在留している外国人の場合:「在留資格変更許可申請」を行う。
 
<申請の場合の重要事項>
 ・大学等の履修内容と職務内容に関連性があること
 ・専門性が必要な業務であり単純作業でないこと
 ・日本人と同額以上の報酬額であること
 ・外国人を雇用する必要性があること
 
<その他:カテゴリー区分>
・在留資格申請時に雇用会社のカテゴリーに従って提出書類も異なります。
 カテゴリー1:上場会社
 カテゴリー2:給与所得源泉徴収税額1,000万円以上の会社
 カテゴリー3:カテゴリー2以外の給与所得源泉徴税票提出会社
 カテゴリー4:それ以外の会社
*カテゴリー1と2については会社の安定性・継続性が高いと評価され、提出書類も少なく、審査時間も短じかくなっています。
 
カテゴリー3と4については会社の安定性・継続性の評価が低く、提出書類も業務内容の説明書や決算書類などを含め多くなっており、審査時間も長くなっています。
 
 ③ 技能:
「技能」の在留資格は特定の分野で契約に基づいて熟練した労働者として活動する場合に許可されます。許可される分野は下の表のように9種類で熟練した技能を持つ外国人に認められますが、他の分野では認められません。尚、申請人が日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けることが条件になっています。
 

職種 実務経験期間
1 調理師 10年
2 建築技術者 10年
3 外国製品の製造修理 10年
4 宝石・貴金属・毛皮加工 10年
5 動物の調教 10年
6 石油・地熱等堀削調査 10年
7 航空機操縦士 250時間
8 スポーツ指導者 3年
9 ソムリエ 5年

 
技能とは自己の経験の集積によって獲得した能力であり、実務経験が重要視されます。多くの職種では10年の実務経験が求められますが、実証が容易でない場合が多く、過去の勤務先からの「在職証明書」等が必要になります。
尚、契約先の機関(会社等)には事業の安定性と継続性が求められます。
 
④ 特定技能
「特定技能」は2019年に制定された新しい在留資格で深刻な労働不足に対応するための制度で、従来の在留資格と異なり高度・専門的ものである必要はなく、一定の技能と日本語能力を基準に許可されます。
 
「特定技能」が認められるのは各省庁が選んだ人手不足として認められる以下の14業種(特定産業分野:法務省令)に限らており、他分野では認められません。
 ①介護
 ②ビルクリーニング
 ③素形材産業(鋳造、金属プレス加工、溶接、板金等)
 ④産業機械製造業(鋳造、塗装、組立て、検査、プラスティック成形)
 ⑤電気・電子情報関連産業(機械加工、金属プレス、工場板金、組立て、溶接等)
 ⑥建設(型枠加工、土工、内装仕上げ、左官、屋根ふき、鉄筋施工等)
 ⑦造船・舶用工業
 ⑧自動車整備
 ⑨航空
 ➉宿泊(フロント、企画・広報、接客等)
 ⑪農業(農業・畜産)
 ⑫漁業
 ⑬飲食料品製造業
 ⑭外食業
 
特定技能は、上記の人材不足の14業種で即戦力として受入れる制度であり、その業種ですぐに働ける技術・経験と日本語コミュニケーション能力が求められ、その能力を「特定技能測定試験」で判定します。
 
<特定技能測定判定試験とは>
 ―日本で就労を希望する国内外の外国人に対し、国が定める基準をもとに作成した問題で①日本語能力と②技
  能の水準を評価する試験です。
 
 ―①日本語能力測定試験:国際交流基金が実施する「国際交流基金日本語基礎テスト」と国際交流基金と日本
  国際教育支援協会が実施する「日本語能力試験」
 
 ―②技能測定試験:各職種ごとの業界団体が実施する「技能測定試験」
 
<特定技能測定試験の受験から「特定技能」申請の流れ>
 ①特定技能測定試験は国内外で実施される(ホームページ等で告知)。
 ②試験合格者は受入れ企業と雇用契約(正社員)を結ぶ。
 ③在留資格「特定技能」を申請(地方出入国管理局)。
   *申請時に必要となる資料:
   ・雇用会社の説明資料
   ・活動の内容・期間・報酬
   ・日本語能力・技能判定資料
   ・登録支援機関に仲介を依頼した場合は仲介者の概要
 
「特定技能」は2種類に分かれています。日本で初めて就労する上記の14業種を対象とするのは「特定技能1号」となります。1号の修了者が試験に合格すると「特定技能2号」の資格を取得できます。
 
「特定技能2号」の在留者は在留資格の更新が可能であり、更新回数の制限もありません。したがって永住的に在留することも可能になります。家族の帯同も認められています。
 
しかしながら、現状では「特定技能2号」は造船・舶用工業と建設業の2業種しか認められておりません。他の12業種の就労者は、他の在留資格を得ない限り特定技能1号の満了により日本に滞在できなくなります。
 
「特定技能」の主要項目は以下の表のようです。

項目 内容
在留期間 1号:通算5年
2号:更新可能(更新回数制限なし=永住可)
外国人の技能水準条件 相当程度の知識又は経験が必要
入国時の試験 技能・日本語の水準試験あり
送出機関 なし
管理団体 なし
登録支援機関 あり(受入企業の委託により就労・生活支援)
外国人とのマッチング 受入機関が海外で採用、斡旋機関に依頼
受入れ機関の人数枠 なし(介護・建設を除く)
活動内容 専門的・技術分野に従事
転籍・転職 同一の業務区分内等では転職可能

 
<登録支援機関とは>
登録支援機関とは、特定所属機関(受入れ企業)の委託を受けて、「特定技能」外国人が安定的で円滑に活動できるように、支援計画書の作成から職場や日常生活においても支援を行う機関です。機関として登録(地方出入局管理局)できるのは、業界団体、行政書士、社労士などです。
 
「技能実習」から「特定技能」への転換(変更)
 ―「技能実習」制度と「特定技能」制度の目的と技能要件は下記の表のようです。

「技能実習」 「特定技能」(1号)
目的 国際貢献 人材不足対応
技能 なし(非専門的非技術的分野) 一定の専門性・技能

 
 ― 技能実習生は特定技能の14業種であれば、日本語能力試験と技能試験を経て、[特定技能]に移行できます。
 
 ― 技能実習生が2号を良好に終了(実習計画に従い2年10月以上終了)していれば、日本語能力試験を免除
  され、さらに特定技能で選択する業種と技能実習2号の職種に関連性が認められれば技能試験も免除され
  ます。
 
*「技能実習」から「特定技能」への移行や「特定技能」での1号から2号への移行等は地方出入国管理局に在
 留資格の変更手続きが必要です。
 
⑤ 技能実習
技能実習制度は国際貢献のために開発途上国等の外国人を一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。当制度が労働力不足を補うための手段として用いられないことが制度の基本理念になっています。令和3年6月時点で全国に約35万人の実習生が在留しています。
 
この制度は国際貢献のための実習制度ですが、実習生には相当額の報酬を支払うものであり、就労が認められる在留資格の一つです。
 
技能実習制度は国際貢献のための制度であり、日本と相手国との取り決めに基づいて実習生を受け入れており、その相手国は以下の14か国です。
インド、インドネシア、ベトナム、中国、タイ、フィリピン、ミャンマー、モンゴル、カンボジア、スリランカ、ラオス、ウズベキスタン、ネパール、バングラデシュ
 
<管理団体>
技能実習制度には①企業単独型と②団体管理型の2つのタイプがありますが、①の企業単独型は日本企業が現法等を通じて海外から実習生を自ら直接受け入れる制度であるため、現状では実習生の9割以上が②の団体管理型による受け入れとなっています。
 
団体管理型の機関である「管理団体」は非営利法人で主務大臣(厚生労働大臣、法務大臣)の許可が必要です。商工会議所・商工会、中小企業団体、各種協働組合などが管理団体になっており、以下のような役割を果たしております。
 ・送出国の送り出し機関の選定と契約
 ・送出国での実習生候補の選別と受け入れ企業との面接支援
 ・受け入れ企業の技能実習計画作成の指導
 ・技能実習生の入国手続・通訳
 ・技能実習の実施の管理・指導と実習監査及び地方入国管理局への報告
 

団体管理型の技能実習制度


 
技能実習生に支払う報酬は日本人が従事する場合と同等額以上で、休日、休暇等の待遇も日本人と不当に差別されることのないようにすべきです。
 
技能実習生には転職は原則認められていませんが、「特定技能」への在留資格の変更は可能です。
 
技能実習制度の主要項目は以下の表のようです。
 

項目 内容
在留期間 実習生1号:1年以内
同  2号:2年以内
同  3号:2年以内
*1~3号合計で最長5年
外国人の技能水準条件 なし
入国時の試験 なし(介護職は日本語試験あり)
送出機関 外国政府推薦・認定機関
管理団体 あり(非営利事業協同組合)
外国人とのマッチング 管理団体と送出機関を通して行う
受入れ機関の人数枠 常勤職員の総数に応じた人数
活動内容 実習生1号 :講習を受け、業務に従事
実習生2・3号:業務に従事
転籍・転職 原則不可(実習実施社の倒産、2 号から3号移行時には転籍可能)

 
*受入れ機関の技能実習生(1号)の受入れ可能人数は受入れ機関の常勤職員数に応じて決まっております。
 

常勤職員数(受入れ先) 受入れ可能人数
30人以下 3人
31~40人 4人
41~50人 5人
51~100人 6人
101~200人 10人

 
 ・技能実習生の在留資格は毎年更新しなければなりません。
 
 ・技能実習生1号から2号・3号への移行

 
 ―1号から2号への移行要件
  ・2号でも1号と同一の実習実施機関で同一の技術等の実習であること
  ・技能実習計画に基づき、さらに実践的な技能等を習得すること
  ・技能評価試験の学科と実技に合格すること(各業種団体による)
  ・移行対象職種は省令で定められた85職種156作業(令4.3.17時点)に適合
  *2号の認定が下りたら在留資格変更の申請を行う(地域管轄の地方出入国管理局)。
   尚、2号の2年目についても在留期間の更新手続が必要です。
 
 ―2号(2年目)から3号への移行要件
  ・移行対象職種は省令で定められた85職種156作業(令4.3.17)に適合
  ・一時帰国を3号実習を開始前か開始後1年以内に取得(1か月以上12か月以内)
  ・実技試験に合格すること
 
⑥ 企業内転勤:(参考)
「企業内転勤」は日本企業による外国人の雇用には直節の関連がなく、本項は参考情報です。
 
外資系企業の海外の本社から日本の支社・支店への転勤の場合の在留資格です。マーケティング、エンジニアリング、通訳などの国際業務などを担当する場合には、「技術・人文知識・国際業務」資格もありますが、違いは学歴要件の有無です。「企業内転勤」資格には学歴要件はありません。
 
企業内転勤であっても、経営・管理に従事する場合は、在留資格は「経営・管理」になります。
 
企業内転勤の資格での在留者をヘッドハンティングする場合には、「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請の手続が必要です。
 
⑦ 高度専門職:(参考)
「高度専門職」は民間では一部の大企業等が対象であり、本項も参考情報です。
 
「高度学術分野(研究者・教師)」、「高度専門・技術分野(自然科学・人文科学のエキスパート)、「高度経営・管理分野(企業・弁護士事務所などの経営管理者)」の3分野における優秀な能力をもつ外国人の在留資格です。
 
高度人材ポイント制によって、学歴、職歴、年収などの合計ポイントが70以上の者に認められる資格です。例えば、
―博士号:30点、修士号:20点
―年収3000万円:50点、年収2000万円:30点
 
「高度専門職」には特別の処遇が認められています。
 ―初回申請時より5年の在留期間が認められます
 ―配偶者の就労が可能です。
 ―親・使用人の帯同が可能です。
 ―永住申請要件の緩和(70ポイント以上は3年居住、80ポイント以上は1年居住)
 
⑧ 身分・地位に基づく在留資格
「永住者、日本人の配偶者等、定住者(日系3世等)」は入管法上は活動の制限がなく、日本人と同様の就労が可能です。事業主は日本人と同様に雇用ができます。
 
尚、永住者については滞在期間も制限はありません(無期限)。但し、帰化ではないため、国籍は外国籍のままで、参政権もありません。素行が良好で、生計に足りる資産があり、日本に10年以上継続して滞在したり、日本人と婚姻し3年以上日本に滞在している場合等に申請により法務大臣により認可されます。
 

外国人雇用を支援する公的機関

外国人の雇用を支援する機関には以下の2つがあります(東京労働局関係機関)。
 ①「東京外国人雇用サービスセンター」:日本での就労を希望する留学生、技術・人文知識・国際業務、技能
  などの在留資格保有者への職業相談、職業紹介
 
 ②「新宿外国人雇用支援・指導センター」:アルバイト希望の外国人留学生、就労制限のない外国人(日本人
  の廃配偶者、定住者、永住者など)への職業相談、職業紹介
 
外国人の雇用に関して、雇用者(会社)はこの2つの機関に雇用状況等を問い合わせ・相談することができます。但し、実際の雇用手続きは管轄地域のハローワークを通じることになります。
 

外国人の雇用者の義務

①「外国人雇用状況届出」
2007年10月1日より、全ての事業主は外国人労働者の雇入れ、または離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等をハローワークに届け出ることが義務つけられています。届出期限は入社日もしくは翌月末日で、オンラインでできます。
 
② 外国人労働者の社会保険・税金
外国人労働者も日本人と同様に健康保険、厚生年金保険の加入者となり、給料に応じた保険料を納付する必要があり、事業主はその手続きをしなければなりません。
 
事業主は外国人労働者に給与を支払う場合、所得税と復興特別所得税に係わる源泉徴収を行う必要があります。